2020年2月11日(火曜・祝日)金沢21世紀美術館レクチャーホールで行われた
「島館長と語るシマ缶とーくvol.5 演劇、ダンスと美術の関係」というイベントに行ってきました。18:30からのイベントだったため、外はこんな感じです。

小演劇鑑賞が趣味の私。以前に今回のゲスト演劇ジャーナリスト 徳永京子さんを拝見した時に、お話がとても面白かったので楽しみにしておりました💙💙
朝日新聞劇評のほか、WEB媒体、雑誌、公演パンフレットなどで原稿を執筆。東京芸術劇場運営委員および企画選考委員。せんがわ劇場企画アドバイザー。パルテノン多摩アドバイザー。読売演劇大賞選考委員。2018年度より21世紀美術館アンド21(芸術交流共済事業)選考委員を務める。 シマ缶トークパンフレットより
80年代から様々な演劇を見てこられ(メジャーなものから高校演劇まで)有名な俳優さんにもインタビューされているご本も出版されています。
演劇をしている若い方の感性もきちんとキャッチし、より多くの人の目にとまるきっかけを与えてくださっている方です。💛
著名な方から若手まで、分け隔てなく接してくださり、お話も面白くとてもおしゃれ✨
そして今回の「消しゴム森」に関してもこちらのページで記事にされています。
→チェルフィチュ×金氏撤平「消しゴム森」 消しゴムのカスから生まれる詩
消しゴム森の「演劇、ダンスと美術の関係」
チェルフィッチュと金氏徹平さんの「美術と演劇」の共同作業は2017年から始まったそうで
「京都国際舞台芸術祭 KYOTO EXPERIMENT2017」からだそうです。
1.「創造」と「交流」の実験の場となること
2. <京都文化>の現在を発信すること
3. 舞台芸術の新たな魅力を発掘し、次代の人材を生む可能性を見いだすこと
この3 つのコンセプトをもとに、
演劇やダンスのみならず、美術、音楽、デザイン、建築などにまたがる作品を
2010年から京都市内劇場にて上演されています。
21世紀美術館の島敦彦館長は、今回「消しゴム森」の美術が、1969年ハラルド・ゼーマンの〈態度が形になる時〉にアプローチが似ていると思ったそうです。
島敦彦館長は新聞でも「消しゴム」について、「消しゴムは何かを消す機能を持っているが、消しかすを集めれば元と同じ総量になる。山を削り土砂でかさ上げした土地や防波堤とよく似ている」と解説。
「私たちは真っ白のキャンバスや原稿用紙をわざわざ汚して美術や文学を生み出している。消しゴムというのは奥深い絶好のネーミング」とおっしゃっていました。
現代美術家で演劇をされている方は、ほかに染色を勉強されてきた、やなぎみわさんがいらっしゃるとのお話でした。
演劇ジャーナリスト 徳永京子さんが見る「消しゴム森」
徳永さんは京都で既に「消しゴム山」を見ていて、CDに例えるなら、2019年に ロームシアター京都で上演された、「消しゴム山」がCDシングルで、今回金沢で上演された「消しゴム森」がCDアルバムのように感じられたそうです。
徳永さんは既にチェルフィチュ 岡田利規さんの作品を何度も見ているため自分なりの「岡田回路」ができているそうです。
この2つの作品のテーマは「時間」であるように思えると仰っていました。
💛福島原発をイメージさせる、防護服を着ている人。
💛ペンキを機械に流しいれ、いなくなる役者たち(役者がいなくてもペンキは流れ続ける)
💛「映像演劇」ブースの白い壁に映写された言いよどんだ台詞を話す役者ら
(観客がいなくなっても映像の役者は動いている)
空間は止まっているのに、動いている「時間」という概念を感じたそうです。
- 役者さんがどこを見ているのかわからない。
- 観客(特に子供さん)がキツネにつままれたように見てる。
- 少しわかったような気でいたら裏切られる
ことから「ゼロからの交流」というふうにも受け取ったそうです。
おすすめの小劇団 島館長から徳永さんへの質問
島館長から徳永京子さんへ、2020・2月現在おすすめの劇団は?というお話に!!
今回の「演劇、ダンスと美術の関係」のテーマに沿って、島館長がおすすめの劇団について聞いたところ、こちらのお答えが☺✨
- 範宙遊泳
範宙遊泳『さよなら日本–瞑想のまま眠りたい–』
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範宙遊泳
2007年より、東京を拠点に海外での公演も行う演劇集団。すべての脚本と演出を山本卓卓が手がける。
構成員は、山本卓卓(代表・劇作家・演出家)、埜本幸良/福原冠(俳優)、たかくらかずき(アートディレクター)、川口聡(ライター)、坂本もも(プロデューサー)の6名。
現実と物語の境界をみつめ、その行き来によりそれらの所在位置を問い直す。生と死、感覚と言葉、集団社会、家族、など物語のクリエイションはその都度興味を持った対象からスタートし、より遠くを目指し普遍的な「問い」へアクセスしてゆく。
近年は舞台上に投写した文字・写真・色・光・影などの要素と俳優を組み合わせた独自の演出と、観客の倫理観を揺さぶる強度ある脚本で、日本国内のみならずアジア諸国からも注目を集め、マレーシア、タイ、インド、中国、シンガポール、ニューヨークで公演や共同制作も行う。
『幼女X』でBangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。
『うまれてないからまだしねない』で第59回岸田國士戯曲賞最終候補ノミネート。
『その夜と友達』で第62回岸田國士戯曲賞最終候補ノミネート。範宙遊泳 ホームページより
プロジェクターを使い、テキストをスクリーンに映し出す演出。
7年前に、横浜のビルの地下STスポットという40人ほどの箱で上演され、その演出方法は画期的だったそうです。
テキストはもちろん、立つ場所によって大きさの変わる影も、有機的に作品につなげてゆく。
登場人物の感情や台詞、景色が息をしているかのようにテキストで映写される。
演劇で字幕を客に読ませるという事は、お客にストレスを与える為、リスキーな面もあるそうですが、
舞台美術としてきちんと成立していたそうです。
物語の内容も、現代の日本の社会の様子の場面が幾つも織り込まれており大変おもしろかったそう。
この演出方法には利点があり、
💛荷物が少なくて済む
💛持ち運びできるため海外公演もやりやすい。
実際に範宙遊泳は、海外公演も評価されているそうで、代表の山本卓卓さんは深く演劇を学ぶ為に今留学もされているそう。
2010年代からインターネットが登場し、SMAPを知っていながらビートルズも聞き、更にクラッシック、映画、アニメ、ゲーム、落語、お笑いなど、求めれば皆等しく、ほぼ同時にそれを知る事が可能になった。
そういった現象が影響し、色々な要素がごちゃまぜに取り込まれた演出が生まれてきたのではないかと、徳永さんはおっしゃっていました。
そんな興味深い小演劇カルチャーについて❗❗
詳しい内容はこちらの本に書かれています。

大事な舞台美術も伝わるようにと、カラーページは必ず入れたいとこだわったそうです❗❗
範宙遊泳の『さよなら日本–瞑想のまま眠りたい–』はkhaosも動画で見たのですが
詩的なテキストがいかようにも解釈でき、時にカラフルな照明が魅力的でした。
人間の繊細な感情に注目する、邦画みたいな感じかなぁ。
こうやって今の小演劇について分析されているものを見ると、おのずと今の日本、現代の世相を知ることができ、いろんな角度から世の中を知る事ができます。
- 庭劇団 ペニノ
庭劇団 ぺニノは細部までこだわりぬいた、忠実に再現した大がかりなセットが特徴。簡単には持ち運びできない舞台美術の作品として「地獄谷温泉 無明ノ宿」を紹介されていました。
この作品は第60回岸田國士賞を受賞されています。
主宰 タニノクロウさんは富山県出身の元精神科医の方で、
奥様は女優の安藤玉恵さん。朝の連続ドラマ小説「あまちゃん」でもおなじみですね💛💛
動画の「地獄谷温泉 無明ノ宿」役者の入浴シーンではモザイクがかかっている箇所が・・・・❗❗
同じく庭劇団ペニノの作品で、khaosが富山オーバードホールで鑑賞したオール富山キャスト「ダークマスター」の感想はまた次回に❗❗